JaSST '19 Kansai の感想
年に一度の恒例行事ということで、今年もJaSST Kansai に行ってまいりました。
今年から場所が伊丹から天神橋筋六丁目に変わりまして、奈良から行くには便利になりました。
内容はせっせとつぶやいたものがまとめられているのでそちらを見ていただくとしてここでは感想など書いてみたいと思います。
まず今年のプログラムですが、昨年は基調講演がTDDだったりと結構技術寄りな印象でしたが今年はテーマが働き方改革ということもあり、かなりマネジメント寄りの内容になった感じを受けました。
基調講演は「プロジェクト運営を乗り切るためのテストマネジメント入門」
実のところまぁ業務でもいろいろ困っているので、即効性のあるステキ手法などあったら持って帰ったろ、みたいな下心がありました。が、早速講演者より以下のお言葉。
このツールさえあればマネジメントはOKというツールがあるという派手な話ではございません
・・・。ですよねー。そんなウマい話があるわけないですよね。そう思っていても毎回淡い期待を抱いてしまう俺、愚か。
とは言え、年間1200プロジェクトの経験に裏打ちされた講演には参考にすべき内容が多々ありました。というか事例のあるある感がえげつない。
リリース直前に不具合見つけて詰められる
あー、ありますね。「なに見つけてくれとんねん、コラァ」みたいなやつ。
市場流出したほうがいいというのでしょうか・・・。お気持ちはわからなくはないけども。
特にリスクのあぶり出しをしっかりしなさい、という実に基本に忠実な話でした。
そのために、「えらい目に遭ったリポジトリつくる」や「先輩にやばかったTOP5を聞くと良い」とか自分でもできそうな内容を言われていたのが手を出しやすく感じでよかったです。
あとは一人では無理なので、というのを繰り返し強調されていたのも印象的でした。
- 一人では無理なので、人に頼む。
- 人に頼むからには簡単にしないとだめ。
- 100点満点狙いの複雑な打ち手はたいてい続かない。
というあたりですね。
「やなことであると認識されてしまうと進まなくなる。やってみようと思わせることが大事」
というのもありました。参考になりました。
ただ、講演が猛烈に早口だったので、そこだけはちょっと悔やまれます。内容の豊富さから行けば当然の帰結だったかもしれないのですが、午後の休憩時間が30分とかいうところがあったので、ちょっと延ばしてもよかったのかなぁ、と後知恵ながら思いました。
昼休み(せっかく便利な立地になったんだけど、結局コンビニで弁当買ってきて会場で食べた)をはさんで、午後は 「新時代で活躍するための、テストエンジニアのキャリアのつくりかた」。講演者はアマゾンジャパンさん所属ってことで、スゴそうと思いつつスタート。
テストエンジニアは開発側ともビジネス側とも接点がある特殊な立ち位置
なるほど、これは心当たりありますね。確かにテストに役立つ知識とかって意外といろんなものがあったり、逆にどんなことでも役立てようと思うと使えそうな気がするよなーと言うのはあるかも。
テストエンジニアに企業が求めるスキルを求人からひもといていくと・・・
- コンピュータサイエンス
- テスト自動化経験
- コーディング/デバッグ経験
- データ分析スキル
- テストケースマネジメントツール使用経験
- そして避けることができない 英語力 などなど・・・
はじめの印象通りスゴいことになってきた・・・。
私はもともとの配属でメンタルやっちゃってテストに回されたくちなので言うまでもなくポンコツなわけですが、普通に考えりゃ開発とちゃんと対話しようと思えばそうなりますよね。とりあえず啓発に励まなにゃならんということは認識できました。
で、話は成長するにはどうすれば?という方面へ向かっていきます。
成長のためにできること
- 仲間を見つけよう
- 師匠(メンター)を見つけよう
- 優秀な人と仕事をすることにこだわろう
- 自分の実力を測ってみよう
だそうです。2.3.あたりはなかなか難しそうですね。
1.とか4.とかあとモチベーションを維持する点においては私の場合は年一回のJaSST Kansai がとっても役立っております。
続いてはJaSST'19 Tokyoの再演、「意図的にバグを混入させたソフトウェアを用いた研修の実践と効果」
基調講演でも「訓練された要員を適時確保することは難しいので教育は重要」という話がありましたが、こちらはその教育の話です。
社内で技術の普及を担当されているということで、研修を実施して受講者からかなりな好評であるにもかかわらず、その後プロジェクト支援に入ると教えたこと全部忘れてるやないかという有様というのが悩みだったんだそうです。
謎のマトリックスで丸が埋まってくテストとかやってるんです
あっ。それ見たことあるような・・・。っていうか謎マトリクス書かせてるかもしれん、俺。
それはさておき、研修の効果が出ないのを考えた結果、
設計書渡す、演習して解答配る、では体験が薄い
体験が薄いので Knowing-Doingギャップを越えられない、つまり知ってるけど実践しない、となっていた。との分析結果。
それを踏まえてバグ入りソフト、仕様書、果ては打ち合わせ議事録まで用意して一式引き渡してテストを体験してもらう、という研修メニューを考案されたとのこと。スゴすぎる。私も研修担当するときがありますが、流石にそこまで丁寧には作り込めてないです。正直やっつけ仕事になってること、ありがちです。
これだけ丁寧に作り込むとコンテンツを渡すだけで自学自習してくれるそうで、研修教材たるものそこまで行けば理想的だよなぁ、と思いました。
短期間で多くの要員を教育する、ということができれば組織の実力は飛躍的に上昇するというわけで大企業ではとっても大事ですよね。短期間で技術を組織に行き渡らせる、というか。自分の中のKnowing-Doingギャップは現時点で何に関して大きいのかなー?と思いました。
最後は「リモートワークは難しい - それでもぼくらは歯をくいしばってやっていく テストエンジニア版」。
正直なところ、ウチの部門はリモートワークどころかフレックスタイムすら導入されてないので、この講演はちょっと参考にならないかなー、と思っていました。
でもそんなことありませんでした。それはリモートワークの定義が以下だったから。
リモートワークという言葉は範囲広い。異なるロケーションの人と働いていればそれはもうリモートワークと言える。他拠点や外注先だってそう。そう考えると2019年現在、ほぼすべての人がなんらかの形でリモートワークしていると言っていいのでは?
うん。確かにそう言われればそうだ。ウチなんて大半アウトソースでかなりの部分がオフサイトなんでもろ該当だこれ。
情報のとり方についてもしかり。なんとなく耳に入ってくる、ということは期待できない。自分から情報を取りに行かないといけない。
うんうん。ちゃんと明示的に言わないとダメですよね。
突き詰めると、リモートワークが難しいのではなくて、コミュニケーションが難しい。
あぁ、そういうことですね。納得。
チャットのややこしいところは全員に見られてしまうところ。「ここわかんないだけど」みたいな話はちょっと無知をさらすみたいでためらう人が居たりする。
デジタル心理安全性が低い状況。 結果、DM依存してしまう。 そうなるとデジタルタバコ部屋的な空間が出現する
うちはチャットというかまだメールがメインですが、これは非常に心当たりあります。対応間違えると周囲から袋叩きで批判される環境じゃチャレンジなんてするわけがないし、失敗しないことだけが優先されるよね。
心理安全性に関してはこちらの資料が参考になると紹介されていました。
まとめは
リモートワークは難しい。テストエンジニアはなおさら。 だけど分野によっては可能性があるし、難しさとメリットを天秤にかけて適切に使えば非常に強力な武器になり得る。
という一見すると煮えきらない感じの結論ですが、結局題名どおり歯を食いしばってやっていくことが大事なんだな、と。
ちなみに道具にお金をかけましょう、ということでテレコン用のデバイスとかでノイズ入ってイライラするのはもったいないよ、という話が紹介されていました。でも演者は結局iPhone付属のイヤホンに回帰しているそう。意外に優秀らしい。
リモートワークはしてないけど、最近テレコンなんかはするので、今度いままでに使用したデバイスの感想でも書いてみようかな。
とまぁダラダラ書いてしまいました。
去年(メモとっといてあとで再編集してブログ化)のほうがまとまっている気もしますが、今年はTwitterでつぶやきまくってみました。意外と一日中テザリングでTwitterしても通信量はそれなりでした。気楽だけど1年後とかに見るならまとまってるほうがいいかなー?両方やるのはしんどいしなぁ・・・。